ラウンド4 お題「会社の中のオレ」
カーーーーーーーーン(ゴングの音)
今の職場の状況が気になった。
なにせ最低限の人員で回していた職場だ。
自分が抜けて今頃大変な思いをしていることだろう。
能力うんぬんより誰かが抜けると人手として足りない状況なのだ。
それともすでにオレの後釜が入ってスムーズに仕事してるのか・・
オレ「ところで店は大丈夫なんですか?忙しいでしょう・・?」
おっさん「んー、まあね。これから書き入れ時だしね。人は足りてないね、はっきりいって。」
やっぱりか・・ズーーンとくる。
後釜は入れてないらしい。
4月は入学・就職・新学期シーズンで破壊的に忙しい。
その時期にオレが復帰できる可能性はゼロである。
今までも迷惑かけてこれからもさらに迷惑かけることになるのか・・・
オレ「新プロジェクトは・・?」
おっさん「あっちはもっと大変だよ。人集まらなくてね。こっちの人員回してるところだから」
アルバイトが思うように集まらないらしい。
開店でお客がわんさかきてるのに。大変なんてもんじゃない。
そんな状況でオレが抜けちまったのか・・
再び、ズーーーン。
おっさん「でもなんとかなってるよ。まあ、大丈夫じゃない?」
おっさんの口調は非常にライトだ。
オレへの気遣いが感じられる。
そういう気持ちが汲み取れて、また悪い気がして、ズーーーーン。
おっさん
「まあ、大きくなったもんだよな、この会社も。俺が前の会社で担当してた時は1店しかなかったもんな。それがどんどん規模が大きくなっていって。
社長がイメージしたとおりに大きくなっていったもんなー。」
オレ「そうですね」
おっさん「やっぱあの人はすごいよ。ゼロから築きあげてここまで来てんだから。」
ここで会社のことを少し説明。
この会社は社長が30年前に立ち上げた。
地方都市の小さな一角の一店のみだったのが今では業界では全国的に知られつつある成長企業である。
各地から同業者の視察が絶えず、地元マスコミからも注目されよく取り上げられる。
会社が大きくなったのは社長の手腕によるもの。
経営の才覚はかなりのものである。
数年前の不況下でも順調に業績を伸ばしてきたのだから。
時代の変化・流行を敏感に感じ取りそれに即して戦略はしょっちゅう変わった。
でも戦略の変化は今の会社経営ではなくてはならないものだろう。
今の時代は変化に対応できない者は置いていかれる。
加速度を増す時代の変化についていかないとよっぽどの大企業でない限り生き残れないのだ。
「昔はのんびりしててよかった」とはよくいったもんだ。そのとおり。
社長は常に従業員に高いレベルのスキルを求めた。
ここでいうスキルとは目に見える技術的なものではない。
割と精神論に近い。どんな仕事にも全力で取り組んであきらめるな、みたいな。
全体会議などことあるごとに発破をかけてきた。
カリスマ性がある、と言えばあるのだろう。
下の者たちは社長からの指示・方針がコロコロ変わるのに戸惑った。
戸惑って「やってられるかー!」と辞める人が多かった。
もう、9年間で何人みてきたか。
方針に従っても結局ついていけず、体調を崩して辞めた人もいた。
社長自身、自分の考え方についていけない人間は容赦なく切り捨てた。
たとえ今まで懸命に働いて会社に寄与してきても付いてこれないとそこで終わり。
そういう人たちが辞めていく姿を幾度も目にしてきた。
人の出入りが激しく、重役は外からヘッドハンティングされた人々がほとんど。
彼らが社長のブレーンとなって手となり足となってきた。
彼らは社長の考え方を深く理解しており、方針の変化に柔軟に対応できる。
おっさんもその一人である。
おっさん
「でも社長もここまで来るのにやっぱりそれ相応の苦労はあっただろうし犠牲にしてきたものもあるんだよね。
でも社長である以上社員の生活を支える責任があるからな。会社潰すわけにはいかんだろ。社長は孤独なんだよ。それは俺らが思ってる以上につらく厳しい中を乗り越えてきたんじゃないかな」
うーん、そこまでは考えたことなかったな。
そう言われればそうかも。
んー、でもなー。
つ づ く

←続きが気になる方、クリックお願いします

←こちらもポチッと